脳卒中は、脳の障害です。
しかし、影響は身体全体に後遺症としての爪痕を残しています。
例えば、痙縮と言われる身体の強張りにより関節が動きにくいという症状です。
これは何も、脳が統制を失った筋肉が強張っているだけでなく、関節そのものが固まることにも繋がります。
もし関節が固まってしまっていたとしたら、まず解決しなければならない問題は関節の硬さです。
関節の状態を整えずに、身体の動かし方を覚えようとしても、動かせなくて当たり前。
動きを再現できる身体の柔らかさ、適度な筋肉の弾力があって初めて、
「どのようにコントロールするか」という問題と向き合うことができるのです。
本来人の動きには、解剖学、生体力学の視点が必要不可欠なのですが、
なぜか脳卒中のリハビリではこの点が見過ごされているように感じてなりません。
脳が正確で繊細な感覚情報を受け取ることができるために、
アストロでは骨格、関節、筋肉の状態を最適に整えることから始めます。
脳は筋肉に運動指令を出すと同時に身体の各器官から感覚情報を随時受け取って、運動を微調整しています。
脳卒中になって脳がこれまで通りの運動指令を出せなくなった時、
トレーナーが成すべきは、動きの感覚を見つけることです。
・どのような運動イメージが理想の動きを再現できるか
・どこが、どのように変化したように感じるか
運動の感覚が見つかれば、
動かし方の分からない人でも「さっきこんな風に力を入れた時にうまく動かせたぞ」という動きの道しるべを得たことになります。
運動の感覚は皆違います。
運動に関する経験も違えば、脳卒中で損傷した神経回路も違うので当たり前なのですが、
一般的なリハビリでは「セラピストが考える正しい方法」を伝えることに終始しているようです。
本当は皆さまの脳の中で「自分の脳にとって正しい方法」を見つけなければならないのです。
ここまでの過程で、
構造的な問題を除外し、
動きの道しるべを得たあなたが最後にやることは、
その動きをとにかく反復して神経回路を目覚めさせることです。
初めは、どうしてもエラーが出ます。
再び動かし方がわからなくなったり、違うところに力が入ったり。
そんな時、トレーナーは最も上手く再現できる条件を見極め、
できるだけ多く狙いの動きを再現できるのを手伝います。
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