一般に脳卒中後の回復は、発症から1か月程度はスムーズな回復を示し、その後の回復はやや緩やかになります。
そして発症後3カ月で85%程度の回復が得られるとされ、6カ月の時点で残る障害はほぼ後遺症と考えられています。(=プラトー)
プラトー
<意味>自身の能力を高め、更なるスピードで成長していくことが難しい段階。
学習や作業の進歩が一時的に停滞する状態。
このようにプラトーは改善の限界を示す言葉ではありません。
ここで分かって頂きたいことは、
「これまでと同じ戦略では同じ結果しかもたらさない」
ということです。
つまり、プラトーは違う方法を試す時期なのだと考えてみるべきです。
図の曲線からもお分かり頂けるように、最初の3ヶ月というのは、脳卒中の回復の変化が生じやすい時期とされています。
なぜならこの時期は、
脳の腫れが解け、途絶えていた血行が再開し、脳組織の自然修復がおきる時期だからです。抑え込まれていた機能が再起動することになるので、急激に回復するというわけです。治って当たり前の時期です。
この時期のリハビリはどちらかと言えば悪化させない、過度の安静を避け体力を低下させないことが目的です。
そして、およそ発症後3カ月以降の脳の自然修復を終えてからの回復は、傷つかずに残った組織が、失われた機能を補うように神経の連絡路が作り変えられることに依ります。リハビリは特にこの「神経の連絡路の作り変え」を促進するのに効果を発揮すると言われています。
脳の回復の可能性が6ヶ月までに留まっていたのは、リハビリの方法論が確立されていないかったことやリハビリサービスが充実していないことも原因の一つだと私は考えます。
脳や身体は、トレーニング戦略を変えることでさらなる改善が得られる可能性をもっており、様々にあるすべての障害が一律に改善しないということはないのです。
実際、何人もの脳卒中の患者さん達を支援させて頂いている経験から、治るべき人が治しきれずに生活されているという現状は嫌というほど見てきました。それを少しでも何とかするために、私はこの公的介護保険外サービスという分野で闘っています。
またその経験値を後押しするかのように、退院後のいわゆる維持期と言われる時期においても、さらなる回復を望めることは多数の報告から明らかになっています。
一つ障壁を挙げるとすれば、退院後も「リハビリを継続すること」があるのかもしれません。
地域での理学療法サービスを利用して理学療法を継続することが脳卒中患者の機能回復を増強する、私はそう感じています。
(Holmqvist LW, Von Koch L, Kostulas V, et al: A randomized controlled trial of rehabilitation at home after stoke in southwest Stockholm. Stroke 29: 591-597, 1998)
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